
トピックス
サモン君だより5月
掲載日:2025.05.25

千歳川水中観察窓にも、夏の気配が感じられるようになってきました。5月はじめごろまでは、サケの稚魚(赤ちゃん)が群れで泳ぐ姿が見られましたが、今ではその数もだいぶ少なくなりました。ゴールデンウィークごろに放流されたサケたちは、きっと日本海を北上中です。約3年後、たくさんの仲間とともに千歳川へ帰ってきてくれることを願っています。
サケの稚魚は少なくなりましたが、代わりにサクラマスの幼魚や成魚、ウグイやエゾウグイなどが姿を見せてくれるようになりました。さらに、ふだんは真夏にしか見かけないコイが現れた日もあり、観察窓のまわりはすっかり夏の雰囲気です。これから楽しみなのが、ウグイたちの恋の季節。6月~7月ごろには、ウグイやエゾウグイが赤と黒の婚姻色に染まり、繁殖行動をするウグイたちの群れが観察窓を彩ってくれます。ふだんはウグイかエゾウグイか種類を見分ることが難しいかもしれませんが、婚姻色がでると見分けやすくなるので、ぜひ見比べてみてくださいね。

さて、この冬、観察窓のくぼみにホッチャレ(産卵後に力尽きたサケ)が流れ着いていました。1月10日から観察を始め、ゆっくりと分解されていく様子を見守ってきましたが、4月27日の朝、ついに骨だけになっていました。

2025年2月14日

2025年4月18日

2025年4月29日

2025年5月17日
千歳川に潜って観察窓についた藻を掃除するときも、形が崩れないようにとても注意していましたが、どうやら自然の力で身が流されてしまったようです。ホッチャレの体は水生昆虫など川の虫たちの大切な栄養となり、もしかするとその昆虫を今度はサケの稚魚が食べたかもしれません。こうして命がつながっていく千歳川の自然の営みを観察できる観察窓の面白さを改めて感じました。
【学芸員 髙木】