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サモン君だより7月
掲載日:2025.07.31
北海道に来てから2度目の夏を迎えた学芸員の寺嶋です。北見では最高気温39℃を記録し、千歳でも30℃を超える日が続き、地元の滋賀と変わらない暑さを感じています。
さて、7月19日(土)から、夏季企画展【さがしてみよう!身近なムシたち】が始まりました。森の中、野原の中、水辺の中など、さまざまな場所で見られるムシたちを水族館に集めて展示しています。展示しているムシたちの中には千歳近辺で採集してきたムシたちもいます。そこで今回は、私が採集してきたムシたちの採集小話を2つご紹介します。
ひとつ目は、クワガタたちです。水族館に入館するとすぐ目に入る大きな水槽に展示されているミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタ、アカアシクワガタは、夜間や早朝に森で採集しました。採集方法はライトトラップとルッキング採集の2つを実施しました。ライトトラップとは、夜開けた場所にライトを設置し、光に集まってきたムシたちを採集します。展示しているクワガタたちのほとんどがこの方法で採集しています。


ルッキング採集とは、蜜が出るヤナギ、ハルニレ、コナラの木々を探し、クワガタの姿を確認します。甘い蜜の香りが漂う木々には、多くのクワガタたちが集まっていました。

ふたつ目は、オサムシたちです。今回はエゾマイマイカブリや、北海道でしか見られないオオルリオサムシを採集してきました。オサムシの採集にはピットフォールトラップ(落とし穴式の罠)を使用しました。地面にプラコップを埋め込んだトラップを仕掛け、翌日、罠に落ちたムシたちを回収しました。オサムシは飛ばずに地表を歩いて移動するため、この方法が最も効率的です。トラップの中で宝石のように輝くオサムシを見つけたときの感動は、企画展準備の疲れを吹き飛ばしてくれるほどでした。


今回の企画展では、採集したムシの展示に加えて、巨大昆虫模型や昆虫標本の展示も実施中です。また、北海道在住の“ムシ博士”によるお話会や、千歳川での水生生物採集・観察会など、夏休みを千歳水族館で存分に楽しめるイベントも盛りだくさんです。
ぜひ水族館に遊びに来てください。今年の夏も千歳水族館を“ムシ”できませんよ〜!
【学芸員:寺嶋 伊武樹】