サモン君だより6月
掲載日:2024.06.25
千歳川水中観察窓ではウグイの産卵、海から遡上した銀ピカのサクラマス、そして大型のコイも時々現れて、夏の魚たちへ移り変わりつつある中、未だサケの稚魚も見られます。4月から働く職員が、川の水温が15℃を超えても稚魚がいるという状況に驚いてました。
千歳川では毎年春、千歳水族館から約10キロほど上流にある千歳さけます事業所から3千万匹ものサケ稚魚が放流されています。水中観察窓では4月から5月上旬にかけて、大きさが4センチほどの体格もしっかりした放流魚が数多く見られます。一方、6月に見られるのは放流魚よりも小さくて細い個体が多く、おそらく川で自然産卵した個体から生まれた野生魚と思われます。
では、サケの稚魚はいつまで見られるのか、観察窓の記録をたどってみると、1996年から2020年まで7月に見られたことのある年は計11回、その時の水温は15℃前後で、最も遅く見られたのは7月20日(2003年、水温14.2℃)でした。ただ、9月にも見られたというのが1998年、1999年の2回あり、果たして本当なのか、それとも見間違えたのか、正直分かりません。
海へ下った稚魚たちは、夏から秋はオホーツク海で過ごし、その後北太平洋へ向かうのですが、6月や7月でもまだ千歳川にいるサケは行き遅れにならないのでしょうか。でも、生き物の世界は何があるかわからない。毎年こうした稚魚がいるということは、どうにかなっているのかなあと思ったりします。
【4月はたくさんのサケ稚魚が見られる】
【2020年7月3日(水温15.7℃)に1匹だけ見られたサケ稚魚】
【学芸員:荒金 利佳】