新サモン君だより 3月

掲載日:2022.03.30

 いよいよサケ稚魚の放流体験がはじまりました。一般の放流体験は5月まで、学校団体は6月までと続きます。毎年、放流体験が始まると「春が来た!」と思いますが、3月はじめの北海道はまだ雪が残っており、冷たい風が吹きつける中での放流準備は凍えながらの作業のため「やっぱり、まだ冬だった…」と思い直す日々です。私は、雪解けで地面が少し見えてくる頃、フクジュソウやフキノトウが顔を出したのをみてから、やっと春の訪れを実感しております。

 さて、毎年、放流体験時に配布している千歳川観察窓で見られるお魚図鑑付き『放流記念カード』ですが、今年も新カードが10種類増えまして、全部で35種類になりました。例年は、同じ回での配布カードは同じ種類でしたが、今回はランダムに配布されることになりましたので、今まで以上にいろいろな種類のカードに出会えるのではないでしょうか。

 

 冬、生き物の気配がなく寂しかった千歳川水中観察窓でも、サケ稚魚やアメマス等に出会えるようになってきました。もしかするとアメマスは、サケの稚魚を狙って観察窓前をウロウロするようになったのかもしれません。サケ稚魚は、アメマス以外にも大きな魚やカモメといった鳥等いろいろな生き物に食べられてしまうことがあり、私もまれにそのような瞬間を目撃してしまうことがあります。生き物たちの食物連鎖が時に残酷に見えることがあるかもしれませんが、どの生き物も一生懸命生きていて、食べることで生命をつないでいる姿を身近に観察できる環境があることはとても素晴らしいことだと思っています。ちなみにサケ稚魚は、川ではカゲロウ、カワゲラ、トビケラ、ユスリカといった川の中の小石等にくっついている水生昆虫を主に食べています。

 季節ごとに景色が変わるように、千歳川観察窓で見ることができる生き物たちも変化しますので、1年を通して千歳川の中の景色も楽しんでもらえればと思います。

(学芸員 髙木)