サモン君だより  649回 ”「南ぬ島の生き物たち」開催中”

掲載日:2017.07.28

 暑さ本番を迎える中、千歳水族館の涼しい館内は、夏休みに入った多くの子ども達の楽しげな声で賑わっています。723日には、千歳川にインディアン水車が設置され、サケの調査捕獲がスタートしました。昨シーズン、千歳川水中観察窓に第1号のサケが姿を現したのは83日でした。今季は果たしていつになるのか、とても楽しみです。

 さて、今年の夏季企画展は827日まで「南ぬ島の生き物たち」をテーマに開催しています。沖縄の島々(南ぬ島)にすむ、この企画でしか見ることの出来ない珍しい生き物を、30種類以上展示しています。北海道とは大きく異なる気候や自然環境の中で、独特の姿や生態を発達させてきた生き物たち。その魅力を、皆さまにしっかりとお伝えするべく、今回は実際に私が現地へ飛び、生物の状況調査および採集と、展示に使用する映像資料の撮影という、企画展の根幹に関わる大役を担うことになりました。初めての沖縄で、まだ見たことの無い生き物たちに出会えることに喜びを感じつつも、期待通りの成果を得て、企画展を成功させることができるのか、正直なところ不安もいっぱいでした。

 初めての土地で効率よく仕事を進めるには、現地の協力者が不可欠です。そこで今回は、以前から展示魚の収集でお世話になっていた、海坊主というショップの担当者・岡田理成さんと、今回の企画展で素晴らしい魚の絵を展示してくださっている、魚譜画家・長嶋祐成さんがいらっしゃる、石垣島を拠点とすることにしました。お二人とは2ヶ月くらい前から綿密な打合せをし、現地出張は採集条件が最も良い、6月下旬に決定しました。

 時期的に台風を心配したものの、石垣島滞在中の4日間は全て見事な晴天に恵まれ、お二人のご協力のお陰もあって、採集も撮影も順調に進みました。実際に現地に行ったことで、展示生物の生息環境や生活などを肌で感じることもでき、飼育のノウハウのみならず、会場装飾や水槽レイアウトにも活かすことができました。期間中は日・祝日限定で沖縄の巨大ヒトデタッチのイベントもあり、北海道にいながら沖縄を体感できる今回の展示は、自由研究にもピッタリです。皆様のご来館を、心からお待ちしております。

(学芸員:日原 俊)

企画展「南ぬ島生き物たち」会場