西野正史サケ写真展-命の環
掲載日:2024.12.06
2024年12月14日(土)より、西野正史(にしのまさし)氏によるサケ写真展「命の環」を開催します。
インディアン水車が取り外された後の厳冬の千歳川を遡上する野生サケの他
道内各地の河川で撮影したサケの写真40点を展示いたします。
年末年始休館(2024年12月/29日(日)~2025年1月1日(水))をまたいで1月12日(日)までの開催です。
実際に目の前の千歳川でこの季節に行われている冬ザケたちの営み
写真展で興味をもたれたら、寒さ対策を万全に、ぜひ実際のフィールドでもご覧ください
撮影者ご挨拶
北海道新聞社の50代カメラマンです。
サケをテーマにした写真をライフワークにしており、現在プライベートで道内各地や東北地方の川を訪ねて撮影を続けています。
千歳川上流での撮影は厳冬期が中心です。雪景色の中、数多くのサケが自然産卵のため必死に遡上する光景は圧巻で胸を打ちます。
2008年から17年間欠かさず通い、レンズを通して見守ってきました。自然産卵で脈々と命をつなぐこの厳冬期のサケは、研究者によると推定で数千匹。遺伝子的に固有で、人の手による増殖事業に関わらないため「野生サケ」とも呼ばれています。野生サケは雄も雌も体の婚姻色が褪せ、ヒレや尾は真っ白でボロボロ。繁殖相手の雌をめぐり雄同士はかみつき、雌同士も産卵床を掘るときに争います。千歳川に立ち込んでカメラを構えると、凍てつく外気とは一変、水中での熱いバトルが見えてきます。
野生サケが命をまっとうした後の死骸「ホッチャレ」も好んで撮影してきました。
ホッチャレは河畔の動物にとって冬の貴重な餌です。ワシやキツネがむさぼり、食い散らかすことで、サケの体に含まれる窒素などの栄養分が分解されて河畔林を育む効用があるともいわれています。ホッチャレが他者の命を支えることを知ってから、野生サケの自然産卵という営みが動植物の大きな命の循環の中にあると感じています。
厳寒の千歳川で繰り広げられるそんな「命の環」。写真で伝われば幸いです。